平成26 年度香川県当初予算を議論する(続・中)

(6)代表質問~基本問題

具体的な施策と予算配分を議論する前に、2月定例会での代表質問の内容を検討してみよう。毎年の当初予算を審議するのが2 月定例議会である。平成26 年度当初予算案については、2 月19 日から3 月20 日のほぼ1 か月にわたって議会審議が行われたところである。

第1 に当初予算案の基本的考え方については、地域経済の活性化などの実現のための予算であると知事は答弁している。希少糖などの地域資源を生かした重点プロジェクトの推進によって経済と産業の成長を図るというスタンスである。さすがに経済政策だけではなく、防災・減災対策、交通死亡事故の抑止対策、子育て支援事業の取り組みなども強調している。

第2 に四国の鉄道高速化すなわち四国への新幹線の導入についてである。すでに平成23年から四国4 県と区に、経済界などで検討準備会を設けて基礎調査を実施しているという。したがって四国への新幹線導入は大前提であって、これからどんなスケジュールで進めていくかという次元にある。ただし、検討準備会の開催状況や議論の内容については不明というほかない。

第3 は豊島の産業廃棄物処理問題の現状についてである。いわゆる豊島産廃問題が発覚してから20 年を超える年月が過ぎている。だが、最近にあってもドラム缶約780 本が掘削されるなど、処理対象量と処理期間の見直しがたびたび行われている。今回の知事答弁では、ドラム缶の内容物分析を適切にして直島中間処理施設で焼却・溶融処理をするとする。処理終期は昨年7 月の平成28 年10 月から、平成28 年度末を処理期限とした。処理事業の現状については豊島廃棄物等処理事業ホームページで確認することができるが一般県民には分かりにくいものといえる。

(7)代表質問~個別問題

第4 は「いじめ防止対策推進」に関する課題である。教育長は、「いじめ防止対策推進法」に基づき「香川県いじめ防止基本方針」を策定中であると答弁している(3 月26 日付け策定)。この策定された基本方針は、いじめの早期発見と早期対応を図り、関係機関との緊密な連携体制で臨むとしている。具体的な対応として、学校での「定期的なアンケート」の実施は有効かもしれない。今年度はスクール・カウンセラーの派遣拡充し、問題行動等については教員がチームで熱意を持って毅然と粘り強く指導することが大切であるとする。

第5 は医師の確保対策である。医学生就職資金の貸付者は、「現時点で68 名で、平成25年度に初めて県内の公的病院に2 名配置でき」、引き続きの配置が見込まれるとした。また、医師育成キャリア支援プログラムにより、産婦人科や救急科への医師確保に効果が出ているとする。ただ、医師の地域偏在などについては小豆島が挙げられているが中山間部ではどうであろうか。

第6 は高齢者施設の整備である。有料老人ホームに限らず、居室の個室化の傾向にある。介護ニーズの的確な把握と市町と充分に協議して、要介護者が必要な介護サービスを受けられるよう取り組むとしている。いま議論がされている介護度1、2 程度の市町施策への転換については「国の動向も注視しつつ」としているのは自立した自治体ならば明確な立場をとるべきだと思う。

(8)その他各委員会

次に、代表質問の他に総務・環境建設・文教厚生・経済の各委員会や一般質問での議論を簡単に紹介しておく。① 県庁舎東館の保存・耐震化:東館は旧県庁本館だったことと日本の建築史上優れた建築として評価されている。耐震化は防災拠点としての機能と高い文化的価値を損なわないように、外観や内部空間の保存が図られるよう検討する方向である。②県内企業の海外展開:地域経済としても、東南アジアなどへの県内企業の海外ビジネスが拡大されることは素晴らしいことである。その手法はジェトロ香川を軸に、香川県海外ビジネス展開促進センターの設置、国ごとの市場動向などの最新情報を提供するセミナーの開催、グローバル人材育成事業などが実施されるようである。③農地の集積:遊休の農用地が広がっている。また農業の担い手確保が喫緊の課題となっている。農地の集積は専門員を地域に配置して、担い手の掘り起しや借り受け希望者と貸付希望農地のマッチングにあたるとする。ただ、遊休などの農地問題はマッチングだけでは解決しない。若者が農業を引き継ぎ、きちんとした生活が保障されるものでなければならないだろう。

以上、平成26 年度当初予算議会での主な議論を見てきた。このほかのテーマでの議論もされてきた訳ではあるが、多くの県民のみなさんにどれほど知らされているだろうか。県民としても県議会の議論にもっと関心を払う必要があることを指摘しておきたい。

 

(T)

月報361号(2014年8月号)